病室の構図

お母さん、明日からお昼は常食が出ます。
看病の時間も一日の半分くらいになりました。
少しづつでいい。良くなって欲しいです。


皆さんからご心配いただき、本当に嬉しく思います。
人のあたたかさを実感しています。
モネ展のこと、お泊まり会のこと、山形旅行のこと、a300でDJさせていただいたこと…。
落ち着いたら、ゆっくり書こうと思います。


何日か前、いつものようにお母さんの病室に居た。
同室のおばあさんが何やらボソボソとつぶやいている。
「何だろ?」と思い耳をすませた。


「神様、神様。もう手も足も痛くて痛くて動きません。夜も寝られません。
どうか、どうか、重い病気にして、死なせてください。お願いします。お願いします。」


あたしはハッとした。一瞬で心が渇いた。
浦沢直樹の『MONSTER』に出てくるヨハンが言う、「終わりの風景」。
その時、今、この情景があたしにとっての「終わりの風景」だと思った。
自らの死を神に乞う老婆、傍らには点滴の管が繋がれた母、窓の外は梅雨の曇天。
静かな地獄を見た気がした。
「終わりの風景」を見てしまったあたしは、これからどうやって生きていこう。
この時生まれた心の渇きを、どうやって潤そう。