すべりだい

ヘルタースケルター (Feelコミックス)

ヘルタースケルター (Feelコミックス)



今日は、岡崎京子の『ヘルタースケルター』を読みましたです。
買いました。初めて読みました。
これ彼女のいちばん新しい(「最後」って書きたくない)長編なんだっけ?
何かきっと、すごくすごく暗くて壮絶で救いようがないお話なんだろうなあ、って勝手に想像していて、
それで今まで読めずにいました。
確かに暗くて壮絶だけど、それでもあのポップっていうか、ライトな感じ。すごいバランス。
画、ストーリー、登場人物、ラスト、全部良かった。
物語がはじまったときから、もう終焉にまっすぐ向かっている。
それはすごくわくわくする。他人事だから。りりこ(主人公)がどんな風に壊れていくか。
先を読まずにいられない。
それでも終始、ライトな感じがつきまとう。
読後感も良い。
この読後感の良さも、「死」が無かったからとか、そういう短絡的なものでは勿論ない。
例えそこに「死」があったとしても、それでも後味は良いものになっただろうと思う。
作者の絶妙なテクニックがあってこそのものだと。
あとちょっと思ったんだけど、ラストちかくで検事が独り掛けのソファに座って、りりこに暗示的なことを語るシーン。
あれちょっと『ツインピークス』の「赤い部屋」みたいだなって思った。
人を喰うような、一度読み始めたらものすごいちからでその世界にどんどん引きずり込まれる、
そんな作品は今どれだけ描かれているだろうか。
存在そのものが"モンスター"のような作品が。


悲劇?絶望?非現実?死?希望?  どれでもあるが、どれでもない。
すべてが表裏一体、同時進行している。
あたしたちの毎日と同じ。何の変わりがあると言うのだろうか?全く同じなのだ。
それでも生きる。負けず嫌いのりりこがその選択をしたように。
自らそのレースを降りることは、それはずるっこだから。