そして、何が起こっても

あたしが何を言っても、何をしても、何の慰めにもならないほどの思いを、
たくさんの人がした日だ。


テレビで次々に報じられる情報に、胸を痛めた。


だけど、遠くに住み、現地にも行こうともせず、ただテレビで様子を見ていただけのあたしに、
何が言えるだろう。


可哀想だとか、酷いとか、そんな言葉は何の意味も持たない。


ただ見ていただけのあたしには、その状況も、辛さも、寒さも、何もわからない。
そんな者が何を言っても、思っても、何になるだろう。


「あなたには、私の気持ちはわからない」


と言われたとする。
もちろん、「わからない」
はっきり言える。


ただ、「あなたにも、あたしの悲しみは絶対にわからない」


わかってくれなくても、いい、と思う。
自分が経験したことしか、理解できないのが人なのだと思う。


あたしはあなたの気持ちはわからない。そして、わかり合えるとは絶対に思えない。
ただ、わかろうと思う。
わかろうと努力していることは、わかって欲しい。
100%わかり合えることは絶対になくても、わかり合おうと努力する、それが人間の良いところだと思う。


慰めの言葉なんて、要らない。
あたしも、そういうのを上手く伝えるのは実はチョット苦手なんです。
ただ、そばにいてくれるだけで、良いのです。
そばにいる、それが「あなたをわかろうと思っているよ」の、サイン。