重松清さんの講演会


先週の土曜日、直木賞を獲った作家の重松清さんの講演会へ行ってきました。
市役所の「人権男女共同参画課」という部署の主催でした(なので無料)。


すみません。先に書いておきますが、重松さんの小説は読んだことありません。
よりみちパン!セ』というシリーズで「みんなのなやみ」という、子どもの悩みに応える本が
2冊出ていて、それと、あと新聞の人生相談の回答者になっていた事があって、そこでのやりとり
しか読んだことがありません。。。


でも、その中で子どもたちに対する愛情と、社会の現状を確実に見極める目をもった人だなぁ
と思っていました。
子どもたちにとって、こういうおとなは信用に値する貴重な人なんじゃないかなと思います。


講演会の演題は『日常の家族の風景から』。
戦中戦後の話から現在、そして何故か「本を読みましょう!」という話まで。
話がとてもわかりやすく、ユーモアを交えたものでおもしろかったのですが、特に興味をひいたのは
「『三丁目の夕日』みたいな時代が最良、みたいな風潮があるけど私はそうは思わない」という
話のときでした。


高学歴やお金持ちであることが最高の幸せである、という目標に向かって、国民全体が
向かっていた時代、そのレールからドロップアウトしてしまった人への風当たりの強さはひどかった、
またそういった人たちへのケアは今の方がよっぽど充実している、という話。
価値観がガチガチに固まっていた時代では『それぞれの感じる幸せ』はないがしろに
されていたそうです。
例に出ていたのは「子どもがひとりっこだとかわいそう」という考え方。


これはあたしもよく言われた!
でも、実際はそんなにかわいそうじゃないですよ。
だから言われると、ポカーンって感じでしたけど。
むしろ、友達のうちに遊びに行ったときによく見た、激しいきょうだい喧嘩とか親の愛を
自分に向けるための出し抜きあいとか(多分本人達は無意識なんだろけど)。
きょうだい間の熾烈な生存競争を目の当たりにして、驚いたものです。
あたしは、そんなことしなくても両親の愛は全てあたしのものだったし、冷蔵庫のアイスも、
あたしが食べなければいつまでもそのままになってた。


だから「きょうだいがいる方がいい」「ひとりっこはかわいそう」という考え自体が
ナンセンスであって、それぞれで良いことも良くないかも…と思うこともある。
それぞれが「幸せだなあ」と思っていることをとやかく言うことないじゃないか。
そういう「幸せの多様化」みたいなのが今の方がよく認識されている、という話でした。


とても共感し、得るものも多い講演会でした。
みんなに手を上げさせたりして、退屈させないようにする工夫も楽しかったです。
いつも思うんですけど、表現する人って話が上手な人が多いですよね!